塗装に使う塗料の違いについて
塗料と一言で言ってもその種類はとても多く、その違いを理解されている方は少ないかと思います。
塗装屋さんになるわけではないので覚える必要はないのですが、自分の家を塗装する際に何を塗ればいいのか?ある程度理解して選択することをお勧めします。
ここでは大まかな塗料の種類でどんな効果があるのか?どれぐらい持つ(耐用年数)のかについてご説明したいと思います。
塗料の種類
ウレタン塗料
スプレー缶などでもよく目にするウレタン塗料とは、ポリオール樹脂を主成分し、ポリイソシアネートと呼ばれる硬化剤と組み合わせて作られる塗料です。密着性や伸縮性に優れており、付帯部や木部の塗装にも採用されます。
汎用性が高く、家具や車の塗装などでも幅広く使われています。
ウレタン塗料のメリット・デメリット
ウレタン塗料は、柔らかい質感による密着性の高さゆえにさまざまな箇所に使える点と費用の安さがメリット。一方でデメリットは、この下のランクのアクリル塗料と同じで耐久性があまり高くない点です。下のランクのアクリル塗料に比べて耐用年数は長いものの、グレードとしては低めです。
ウレタン塗料の耐用年数
耐用年数は5~8年ほど。
一昔前までは外壁塗装でもメジャーな塗料でしたが、アクリル塗料と同じく耐久性に乏しいため、近年はあまり使用されていません。雨樋(あまどい/屋根に流れる雨水を地上まで運ぶための装置)などの付帯部を中心には使用します。
シリコン塗料
シリコン塗料とは、主成分である合成樹脂にシリコンが含まれている塗料のことで、外壁塗装に使われる塗料としては長い間主流であり、各メーカーからさまざまな商品が出ています。
シリコン塗料のメリット・デメリット
シリコン塗料のメリットとしては、汚れがつきにくく落ちやすい低汚染性と、熱や紫外線にも強い耐久性の高さです。これらの特徴から外部の影響を受けやすい外壁塗装に向いている塗料と言えます。また、商品のバリエーションが豊富なため、色にこだわりのある方にもおすすめです。
一方デメリットは、塗膜が固くなりやすいため劣化が進むとひび割れにつながる点や、性質上重ね塗りが難しく技術を要する点が挙げられます。また、シリコンの含有量によって耐久性や性能に幅があるため、「シリコン塗料だから」と一概に良いわけではないので注意です。
シリコン塗料の耐用年数
耐用年数は8~12年ほどであり、アクリルやウレタンと比べて長持ちするため、外壁塗装に使う塗料としては選択肢のひとつです。
フッ素系塗料
続いて、フッ素塗料です。フッ素樹脂が配合された塗料のため優れた対候性・耐久性があります。
一般住宅だけでなく、塗り替え難易度が高い大型建造物などに多く用いられています。
フッ素系塗料のメリット・デメリット
硬い塗膜を形成するため紫外線に強く、頑丈な塗装を行えるのがメリットです。外壁のほか、劣化しやすいシャッターなどにも適しています。デメリットとしては、ほかの外壁塗装と比べて費用が高くつく点です。 費用がかかったとしても、できるだけ長持ちさせたいという方にはおすすめです。フッ素系塗料の耐用年数
耐用年数は15~20年と言われています。これまでご紹介してきたシリコンと比べて、やはり高い印象を受けるかもしれませんが、それに見合う耐久性がある塗料です。無機塗料
フッ素系塗料と並ぶハイグレード塗料が「無機塗料」と呼ばれるものです。
無機ハイブリッド塗料と呼ばれることもあるこちらの種類は、炭素を含まない無機物質を主成分とすることで変化しにくく、耐久性が高いのが特徴です。
無機塗料のメリット・デメリット
無機塗料は耐久性が非常に高く、長期間美しい外観を維持できる点がメリットです。
ただしシリコン塗料など有機系塗料に比べて硬く、ひび割れしやすいといったデメリットもありますが、無機・有機成分をハイブリッド化することでバランスのとれた柔軟な塗膜を形成でき、カビ・藻類の発生も防ぐことが可能になります。
無機塗料の耐用年数
耐用年数は20年以上とフッ素塗料よりも長く、塗料のなかではハイグレードと言えます。
この中でお勧めは・・・?
費用対効果を考えてお勧めするのは、シリコン塗料です。
フッ素系も無機も耐用年数が長くメンテナンス周期も伸ばせますが現時点では塗料コストが高いのがネックです。
トータル的に一番納得のいくのはシリコン系かと思われます。
基本的に足場を組む、洗浄する、下地を整える、養生をすることはどの塗料を使っても同じ工程が必要ですので、価格に差が出るのは塗料の質ということになります。
総合的に判断して費用対効果がいいのはシリコン系塗料かと思います。
予算的なものもそうですが、耐用年数も塗料が良くなってきて伸びてきていますのでお勧めです。
いまどきウレタン系やましてやアクリル系を塗るのはお勧めしません。塗り替えてもまたすぐに耐用年数が来てしまい出費を強いられてしまいます。
訪問営業で来る業者の中には言葉巧みに話をしますが実はウレタン塗料で仕上げて粗利を稼ぐという話を聞きますので訪問営業業者にはご注意ください。
機能性塗料について
遮熱塗料
最近機能性を持つ塗料の中で遮熱塗料と呼ばれるものがあります。夏になると太陽に照らされて家は暑くなるのですが、その暑さを和らげるのが遮熱塗料です。
暑くなる原因は太陽の赤外線です。太陽光の中でも熱に変換されやすいのが赤外線で赤外線の光は、物体に当たって吸収されると分子振動が起こり、熱エネルギーに変換されます。日焼け対策で紫外線(UV)カットという言葉を耳にしますが、暑くなるのは紫外線ではなく赤外線です。この赤外線を反射することで暑くなるのを防ぐことができます。
暑さ対策の車のフィルムなどにも赤外線99%カットなどの商品がありますが理屈は同じです。
屋根材の塗料の中に特殊な赤外線を反射する素材を加えた特殊な塗料を遮熱塗料といいます。この塗料を屋根に塗ることで家の温度上昇を抑えてエアコンの効きがよくなり電気代の節約にもつながるというものです。
このように技術の進歩によりいろいろな種類の塗料が開発されていますのでご提案の際に詳しくご説明させていただきますので、ご自分の家に何が向くのか・・・一緒に考えて最適な答えを見つけましょう。